注文住宅の間取りを決める中で、多くの人が一度は立ち止まるのが「子ども部屋の仕切り方」ではないでしょうか。
「小さいうちは広い一部屋にして、必要になったら仕切る?」
「それとも、最初から壁で2部屋に分けておくべき?」
「仕切るとしても、壁じゃなくてドアやパーテーションのほうが柔軟かな?」
この「扉か壁か」問題、ネットで検索すると本当にたくさんの情報が出てきますよね。でも、そのほとんどが「今はつなげておいて、将来仕切る」という一方向のアドバイスばかりです。
実は我が家、その“真逆”の選択をしました。
「最初はしっかり壁で分ける。でも、十数年後にまた簡単につなげられるようにしておく」
そのために採用したのが、建築用語で「床勝ち(ゆかがち)」と呼ばれる設計方法です。 今回は、なぜ我が家がこの方法に行き着いたのか、間取りの打ち合わせで見落としがちな「住宅会社の標準仕様の罠」について、体験談を交えてお話しします!
子ども部屋の仕切り、みんなが悩む「扉 vs 壁」のリアル

まず、一般的に言われている「二択」のメリット・デメリットをサクッとおさらいしてみます。3人の子どもを育てる母親目線で見ると、それぞれ一長一短があるんですよね。
① 扉や可動パーテーションで分ける場合
- メリット: 子どもが小さいうちはキャッキャと走り回れる広さを確保できるし、将来のライフスタイルの変化に合わせやすい。
- デメリット: とにかく音や気配がダダ漏れになります(笑)。 特に我が家のように年齢差があると、受験勉強の時期や思春期のプライバシー確保にかなりの不安が残ります。
② 最初から壁でしっかり分ける場合
- メリット: 遮音性やプライバシーは安心。部屋としての独立性が高いので、机やベッドのレイアウトもバシッと決まります。
- デメリット: 一度作ってしまうと後から変更するのが大変。「子どもが巣立った後、この狭い個室×2はどうするの……?」という問題が残ります。
ネットの記事の多くは、ここで「だから、ご家庭の優先順位に合わせて選びましょう!」と締めくくられています。
でも、「壁は一度作ると変更しづらい」という大前提、実は新築時のちょっとした工夫でガラリと変えられるんです。
きっかけは、夫の実家での快適な一部屋
我が家がこの発想に至ったのは、夫の実家に帰省したときの体験からでした。
夫の実家では、10畳ほどの広々とした部屋を私たち家族の寝室として使わせてくれています。そこにシングル布団を3枚敷いて、家族全員で川の字になって眠る。
これが、本当に快適なんです。
そしてこの、「快適さ」があるから、また帰りたいと思えるんですよね。
じゃあ、自分たちの家はどうだろう。
約20年後、子供たちが独立して、それぞれ家庭を持って、孫を連れて帰ってくる。そのとき、我が家に「みんなで泊まれる広い部屋」はあるだろうか。
答えは「微妙」でした。 一応2階に和室のセカンドリビングがあるのですが、5、5帖なので、シングル布団3枚並べるには少し狭いです。
「だったら、子どもが巣立ったらその壁を簡単に取れるようにしておけばいいんじゃない?」
これが、我が家の「床勝ち」計画のスタートでした。
我が家が選んだ第3の選択肢「床勝ち(ゆかがち)」とは?

「床勝ち」ってなに?
「床勝ち(ゆかがち)」とは、家を建てるときの施工の順番を表す建築用語です。
- 床勝ち: 先にフローリングを部屋全体に張り、その床の上から壁を立てる方法。
- 壁勝ち: 先に壁を立てて部屋を区切ってから、それぞれの部屋ごとに床を張る方法。
ちょっと専門的に聞こえますが、どこかのハウスメーカーの限定仕様ではなく、建築業界では一般的な言葉のようです。
何がそんなに違うの?
一番大きな違いは、「将来、壁を取り壊したとき」にハッキリと現れます。
もし「壁勝ち」の家で壁を撤去すると、壁が建っていた部分の床がくり抜かれたように無くなってしまいます。つまり、床全体の張り替えが必要になります。
一方で「床勝ち」の家なら、壁を撤去した下にも、フローリングがそのままつながって眠っています。つまり、**壁を取り除くだけで、大きな一室が完成します。
【要注意】言わないとスルーされる?ハウスメーカーの「当たり前」の罠

ここが、今回ブログで一番お伝えしたいポイントです!
普通に任せていると「壁勝ち」になる可能性大
実は、施主側から何も指定しないと、多くのハウスメーカーや工務店は「部屋ごとに床を区切る、壁勝ち」施工をします。
ネットで「将来、間仕切り壁を撤去する費用」を調べると、大体「クロスの張り替え+床の張り替えで○万円〜」などと書かれていますよね。 これは裏を返せば、業界全体が「壁を取るなら、床も張り替えるのが当たり前」という前提で動いている証拠なんです。
新築時の「ひとこと」で、将来の工事費をカットできる
もし「床勝ち」にしておけば、将来の床の張り替え費用はまるごとカットできます。 しかも、新築時に床を先に通して施工してもらうこと自体の追加コストは、決して大きくないと思いますので、ハウスメーカーさんなどに差額を確認してみてくださいね。
将来の十数万円の出費を、新築時の打ち合わせの「ひとこと」で削れるかもしれないです。
それなのに、なぜこの情報があまり表に出てこないのか。 理由はシンプルで、「孫が泊まりに来る未来」まで想像して間取りの打ち合わせに臨む人が、そもそもほとんどいないからだと思います。
「床勝ち」のデメリットと注意点
良いことづくめに見える「床勝ち」ですが、あえてデメリットも書いておきますね。
① 理論上、隣の部屋の音が響きやすい
壁が床の上に乗っかっている状態なので、床を伝って振動や音が隣に回り込みやすいと言われています。 ただ、我が家の実際の体感では、特に差は感じていません。部屋の防音性って、床下よりも「ドアの下の隙間(アンダーカット)」から漏れる音の方が影響が大きいんですよね。
② その壁が「耐力壁(たいりょくへき)」なら撤去不可能!
これが一番の注意点です! 家全体の構造を支えるための重要な壁(耐力壁)にしてしまうと、いくら床勝ちにしていようが、将来絶対に撤去できません。 設計の段階で必ずハウスメーカーに「将来この壁を抜きたいので、撤去可能な間仕切り壁にしてください」と明確に伝えてくださいね。
- その壁は将来撤去できるか?
- 床勝ちで施工できるか?
- 壁を抜いたとき、クロスや照明、コンセントの配線はどうなるか?
この3点は、打ち合わせで担当さんに確認することをおすすめします!
最後に:知らないと損をする、家づくりの隠しコマンド
子ども部屋の仕切りは「扉か壁か」の二択になりがちですが、「壁でしっかり分けつつ、将来のために床を通しておく(床勝ち)」という賢い第3の選択肢があります。
今の暮らしやすさを犠牲にせず、未来の選択肢だけを増やしておく。 注文住宅には、こうした「隠れた仕込み」がまだまだたくさんあります。
まさに家づくりって、「自分で調べて、指定しないと損をする」ことの連続なんですよね。ハウスメーカー側から「将来のために床勝ちにしておきますか?」なんて親切に提案してくれることは、ない可能性が高いです。
そして、この「知らないと損をする」という構造が、もっと大きな金額(数十万円レベル)で襲いかかってくるのが、実は「外構(お庭)工事」なんです……!
間取りや内装にこだわりまくって、予算オーバー気味になった最後にやってくる外構計画。ハウスメーカーの言われるがままに見積もりを受け入れると、本当に損する可能性が高いです。
我が家も実際にハウスメーカーと外部の業者を徹底比較して、コスパ良く理想の外構を作ることができました!
その具体的なテクニックはこちらの記事にまとめています。予算配分で失敗する前にぜひ読んでみてくださいね!